そんな声を聞くと、さすがに心配になって、恐る恐る瞼を上にあげる。


すると…一ノ瀬くんがヤンキー座りのような体勢で、頭を抱えていた。


「無自覚ってほんとずるい。」


「えっ!?」


無自覚?私の事??


「一ノ瀬くん、大丈夫?」


私は、一ノ瀬くんの表情が見たくなって、顔を覗くようにしゃがみ込んだ。


のだけど……


「見んな。」


低い、少し怒ったような声とともに、一瞬で一ノ瀬くんの腕の中に連れ去られてしまった。


「……何で、好きでもないやつのこと考えてんの。」


「それは……」


私にも分かんない。


「先輩より、俺の方が好きって事でいい?」


「何…それ。」


「答えて。」