「困らせてごめん。」


「い、いえっ!こちらこそごめんなさい。」


せっかくのお出かけなのに、何だか気まずい雰囲気になってしまった。



──「じゃあ…また。」


「本当に送らなくて大丈夫?」


「大丈夫です。まだ、明るいのでっ、今日はありがとうございました。楽しかったです!」


「俺の方こそありがとう。楽しかった。」


4時半、解散ということになって、駅前で先輩とわかれた。


去っていく先輩の後ろに姿を見て、心の中でごめんなさいと謝った。


先輩とのお出かけなのに……一ノ瀬くんの事ばっかり考えてしまっていた気がする。


何で……だろう。


1人、家に向かって足を動かす。


一ノ瀬くんの事ばかり考えてしまっていた理由を探しながら。