「そんなことは…絶対にないと思いますよ。」


「ありがとう、今日は退屈させないように頑張るよ。」


先輩にニコッと笑い返して、2人で上映時間まで時間をつぶした。



「早乙女さん、どっちがいい?」


取ってくれた2つの席を私に選ばせてくれる先輩。


優しいなぁ……。どうしたらそんな余裕が出てくるんだろう……。


「先輩って凄いですね。」


「え?」


席に座って、膝の上にのせた荷物を抱えながらつぶやく。


「私なんかよりもずっとずっと余裕があって……。」


「余裕…か。そんなもの全くないよ。」


「で、でもいつも当たり前のように優しくて」


「早乙女さん相手だからかな。ていうか、一ノ瀬と早乙女さんが楽しそうに話してるの見ると、俺も早乙女さんと同じ学年が良かったって、めっちゃヤキモチ妬くし。」