婚約破棄をされたダンスパーティーの次の日。私は学園を休んでいました。

 昨日の夜、帰宅するとすぐにお父様の部屋を訪れて事の経緯を話しました。静かに話を聞いていたお父様は明日テンネル侯爵に会ってくるとおっしゃいました。

『お父様、ご期待に沿えず申し訳ございません』

 私はお父様に頭を下げました。テンネル侯爵家の力を借りて、我が侯爵家もさらに躍進を遂げるはずでした。婚約がなくなってしまえばそれも難しくなってしまいます。

『フローラが謝る必要はないよ。こちらが損をすることはない。むしろあちらの方が慌てているのではないかな? あとはまかせなさい』

 と、なぜか不敵に嗤ったお父様。
 今回の件でお父様をがっかりさせたのではないかと冷や冷やしておりましたが、全くの杞憂だったみたいです。
 お母様も私の気持ちを慮って下さって慰めてくださいました。おかげで安心して眠ることができました。