そういえば、ダンスパーティーは学園主催。先生方も当然出席していらっしゃいます。

 壇上を降りようとしていたエドガー様とリリア様が警備隊に捕まっていました。

「二人とも別室で話を聞かせてもらおう」

「なんでですか? これからダンスを……」

「何度も言わせるな」

 有無を言わせない学園長の声にびくりと肩を震わせたお二人ですが、結局抵抗することなくおとなしく連れていかれました。


 扉が閉まりシンと静まり返ったホールに再び音楽が流れ始めました。

「さあ、時間はまだあるから、これから大いに楽しもう」

 生徒会長の声が高らかに響きます。
 みんなはその声に促されるように中央に進み踊り始めました。
 
 退場の機会を失った私でしたが、このどさくさに紛れて帰りましょう。

 エドガー様とリリア様は大丈夫かしら? 
 馬車の中で学園長の怒った顔を思い出し二人のことが心配になりました。

 お父様に報告しなくては……

 一つだけ気がかりなことがあります。
 結婚がなくなればあの条件も白紙になるということ。
 どうしましょう。