「冬生いいの?おばさんは知ってるのかな」

「母さんに言えるかよ。最近調子良くなってきたのに。」

冬生のお母さんは冬生が生まれてから体調を崩すようになった
だけど最近は顔色も良いみたいで冬生も安心していた。

「そっか……」

「あいつに何かされたら言えよ」

正直こんなに焦っている冬生を見たことがなかったからどうしたらいいか私は分からないでいた

「冬生は弟のこと嫌いなの?」

「いや、むしろずっと気になってた」

「気になってた?」

「うん。俺だけ母さんの所にいてあいつはばあちゃんのところだろ?前は帰省良くしてたから遊んだりもしてたんだけど中学入ったあたりから母さん体調悪化して帰省すらしなくなったからあいつの顔忘れてたくらいなんだ」

「おばさんは弟くんのこと話したりしないの?」

「たまにうなされたりしてるとき名前呼ぶんだ。辛そうに。晴生って」

「じゃあやっぱり話すべきなんじゃないのかな。おばさん会いたいんじゃないかな」

「父さんは合わせる顔がないって」

「冬生はこのままでいいの?」

「俺は……正直分からない。俺も父さんと同じで合わせる顔がないって思ってたし」

まだ少し冷たい風が冬生の消えそうな声をさらに消し去ろうとして、わたしにも少し寂しさを分けてくれた気がした