「ミホミホミホ〜!この雑誌の涼くんヤバくない!?」

教室でお昼休憩の時間にリコちゃんが

お弁当を食べる手を止めてアイドル雑誌を見ている

「あーリコちゃんの推しのアイドルだっけ?」

「そー!…
ねえ、パン食べてないでこれみてよー」

「前も見たじゃんー」

「前見せたやつとはビジュアルが違うの!
ねえ!ほらこの翔くんとか!どう!?」

「へーかっこいいかっこいい」


パン見ながら言うなってリコちゃんは怒ってるけど

正直全然アイドルとかは興味無い

ていうかこのりんごパンすっごく美味しい

「ミホはいいなーとか思う人いないの?」

「うーん…」

「まあどうせそういうの興味ないって言うんでしょ
知ってる知ってる。いつもの事だから」

「…あ、太陽みたいな人!」

「え?太陽?」

「うん、いいなと思う人。太陽みたいな人。」

「あ、さっきの質問の答えだったのねそれ。
え、こういう系の質問に答えるなんて珍し!」

「昨日お店に来てくれたお客さんなんだけどね、メロンパンとクロワッサンとデニッシュ買って行ってくれたの」

「そんなん小柴もミホのパン屋で10個くらい買ってったじゃん」

「数の話してるわけじゃないよぉ〜
なんかね、眩しかったの」

「へぇ〜その太陽君はかっこよかったの?」

急にリコちゃんの顔がニヤつき出した

「太陽君って名前なによ笑」

「かっこいいからいいなーって思ったんでしょ?」

「うーん、なんか、かっこいいっていうより、暖かい人だった」

「なんだそりゃ」

呆れ顔で聞くことを諦めたリコちゃんは

また再びアイドル雑誌に目を移した





この気持ちは私自身よく分からないけど

彼が来てくれた後もバイトの時間は

なんだかとても楽しくて

また会えるといいなあと思っていた