バイト先であるパン屋さんは

学校から15分ほど歩いたところにある。

距離としては駅から近い場所に位置しているが

裏道の少し奥まった場所にあるため

お客さんの出入りは

駅前にあるお店とは対照的だ



ーーーーカランカランーーーー

バイト先であるパン屋｢coconest」の

ドアを開けると

ドアに付けられたベルの軽快な音が

店内に鳴り響く




「あれ？ミホちゃん！今日は珍しく早いねえーいつもはギリギリなのに！笑」

パンを陳列させながら私をバカにしてくるこの人はここのお店の店長。

私が高校に上がった時にバイトで来てからもう2年が経つ。

別にお金に困ってたわけでもないけど、

遊ぶ相手はリコちゃんくらいしかいないし

暇だからって理由で始めた。

ここのパン屋に決めた理由も

家が近いから。

ただそれだけ





「早く来たら店長がこき使うからわざとギリギリに来てるんですーー！！笑」

「おーっじゃあ先週の日曜日に明らかに寝起きです！って顔してギリギリに来たのもわざとですかー？笑」

「それはほんとにごめんなさい…」

「はいはい、反省してるなら早く働けーっ！笑」



初めは人見知りしてて

全然話せなかったんだけど

店長が沢山話しかけてきてくれたお陰で

今ではもう家族のように仲良くて

こんな風に冗談も言い合える。





優しい人たちに囲まれて

私は平和に生活してる。

リコちゃんみたいに彼氏がいて

キラキラした生活を送ってるわけじゃないけど

私はいいんだ、これで。このままで。