「ご、ごめん………とにかく逃げなきゃと思って………」



二人して膝をつきながら呼吸を整える。はぁはぁと息は荒かったけど頭の中はスッキリしていて気分は爽快だった。


桃菜ちゃんを守れた。


それだけなのに、私は嬉しくて。


私も朝陽みたいに強くなれたかな、なんて自惚れもした。



「追いかけてこないね。はぁー……助かったぁ。心美ちゃん、助けてくれてありがとうね」


「う、うん。桃菜ちゃんが無事で良かった」



傷ひとつついていない桃菜ちゃんを見てほっと胸を撫で下ろす。


桃菜ちゃんに何かあったら小川くん、きっと悲しむからほんとに無事で良かった。


でもなんであんなとこにいたんだろう。



「それで?心美ちゃん、その姿はどういうことでしょうか?」


「へ?あっ!」



桃菜ちゃんをじーっと見ていると突然聞いてくる。


完全に変装していないことを忘れていた私はサーっと血の気が引いていくのがわかる。