前に小川くんから聞いた話が頭の中から離れなくて一人で歩くのは少し心配。


でも今は変装してないし誰も私だなんてわからないよね。


そんなこんなで歩き、角を曲がったところで、



「い、嫌!触んないでよ!この変態!」



女の子の声が聞こえた。その声を聞いてドクン、と心臓がはねる。


サッと角の影に隠れて様子を伺うように顔をちょこっとだけ出すと………



「えっ。桃菜、ちゃん?」



人に囲まれてよく見えないけどそこには私の親友……桃菜ちゃんがいた。


桃菜ちゃんは細道にいてその左右にヤンキーが囲んでいる。桃菜ちゃんは傘をさしていたけどヤンキーはヘルメットを被っているからか傘をさしていない。


………動かなきゃ………桃菜ちゃんを、助けなきゃ。


そう思うけど足が動かない。



「も、桃菜ちゃ………」


「お前かぁ?藤原心美ってやつは。総長の姫だろ?」