「はー? 何忘れてんの? 金曜日買い物付き合ってねって言ったっしょ」
あ、それチョコ?
いいな。
そう言って俺の手からチョコレートを奪う佑香。
いつもなら何盗ってんだよとか言って悪態の一つも吐くものだけど、今はそれどころじゃない。
先週……先週……。
……たしかに言ったかもしれない。
冬休みだし別に暇だしいいか的なノリでオッケーした気がする。
いやまさかその日がクリスマスなんて思わなかったし。
「言った! オッケーした!」
あーーー俺のバカ!!!
日付はちゃんと確認しろ!
つーか佑香だって曜日で言わねぇで日にちを言え!
「思い出した? てかさっきの子彼女?」
あっそうだ! 水原!
「可愛い子だねぇ。あんたには勿体無いくらい」
「わりぃ佑香! ちょっと待っててくれ!」
なんとなく気まずい別れ方をしたまま冬休みに入るのは避けたい。
今まで待たせたうえにさらに待たせるのは悪いと思うけど、弟のやることだと思って多めに見てくれ。