「……」
「……」

ぴしり、とその場の空気ごと凍ったように、動きが止まってしまう。


多分瀬尾の耳にも届いたようで、一瞬、肩の重みが軽くなる。


でもそれはほんの一瞬で、もう一度近づいてくる瀬尾の目は揺らぐことなくこちらを捉えていた。


……キス、される。

どこか他人事のように感じたそれに、覚悟を決めて目を瞑ろうとした時。


"ピロンっ"


「…………」
「…………」


……一回なら。
……一回だけなら耐えられたけど。


「…………ぅ」

口の端から漏れ出た声。
それを合図に張り詰めていた緊張の糸がぷつりと断ち切られたのがわかった。


…………に、二回目は流石に無理〜〜〜!!!