それでも押しきって自分の意見を通す、そんなチャンスは与えられるどころか考えられてもいないのだ。
昔からそんな感じだった。
無難っちゃ無難。
だけど、私がやりたいことをやらせてもらったことは思い返す限りゼロ。
「だから人生の最後くらい…自分で決めたいなって、思ったんです」
「かっこいいじゃん、お前」
「へ…?」
つい間抜けな反応。
そんな私に目線を合わせてきた彼は、気づけば直径1メートルの距離に居た。
「自分の人生を自分で終わらすなんて中々できるもんじゃねーよ。
怖いだろ普通に。だから寿命があって限りがあって、時には病気がある」
それは馬鹿にするようなものとはちょっと違う。
本当にすごいと褒められているように感じてしまった私は、たぶん単純なんだ。
「そうすれば“運命”っていう都合の良いものに任せられるからな。
それに、あわよくばそいつのせいにも出来る。そんなのこれ程ない最高の責任転嫁だろ」
「……でも、自殺はよくないって、」
「そりゃまぁ、結局は自分だけでは終われねーし」