広い駐車場、ポツポツと車は停まっているけれど客のものではないだろう。
店員のものでもなく、無断駐車だと思う。
だけど誰も気にしない。
そーいうのは田舎の良いところだとも私は思う。
「今日…飛び降りようとして、失敗したんです」
独り言のようにつぶやいた。
別に聞いて欲しくて言ったわけじゃなく、そのまま逃げないように会話で引き留めているようなもの。
とりあえず話していれば、かじかんだ手も解れるんじゃないかって。
「なんで?」
失敗した理由?
それとも、飛び降りようとした理由?
まさか会話が続けられるとは思っていなかった。
その返事が来るなんて思っていなかった。
むしろ死のうとした学生のことなんか興味ないと、冷たくあしらわれるとばかり思ってた。
「理由はとくにないですけど」
「どこから飛び降りようとした?」
「…マンションのベランダ」
本当はそこだけじゃない。
飛び降りだけじゃない、飛び込みもしようとした。
帰りの電車で特急列車のレール、そのままスッて落ちるだけでいいんだって。
だけどその前に同じことをした人が居たから、なんか出来なくて。