こんな真冬の寒空の下、コンビニの明かりに助けられたような見た目の高校生らしき人。
気崩した制服、チラッと見えた唇には血の塊みたいなものが付着してるようにも。
そして、月と同じ色をした髪。
たぶん、いや絶対に不良だ。
見るからに不良。
これって偏見とかじゃないから。
「あーー、さみぃ…」
つぶやいた、その男。
コンビニの端っこに座り込むようにして白い息を吐いていた。
「ほうじ茶、飲みてーな」
うん、だからなんだ。
私が言うのもおかしいけど、随分と渋い趣味をしてらっしゃる。
ほうじ茶なら、あなたがいますぐ立ち上がって数メートル進めば売ってますけど。
手にしたビニール袋がガサッと脳内で音を出した。
「なぁ君、買ってきてくんない?」
「……え、」
「頼む、金ならあとで払う。体が痛くてヤベーんだわ」
それだったらほうじ茶なんか飲んでる暇ない、救急車だ。
それか保護者を呼んで迎えに来てもらった方がいいはず。
まさかこの人、ほうじ茶を飲もうとして頑張ってコンビニを目指したけど寸前で力尽きたパターンの人…?