「これで帰ってメシ食っても美味いんだろうな。例えそれがコンビニ弁当だとしても、きっと美味いんだよ」



死ぬな、とか。
自殺なんかするな、とか。

そんなことを言ってるんじゃなくて。


まだもう少し生きてみたら?なんて軽く笑ってくれたような感覚。

ほんの少しくらいなら誰にも迷惑かからないし誰も見てないし許されるよ、なんて。



「そう感じれるってことは、たぶん俺はまだ“生きたい”って思ってるってことなんじゃねーかなって………」


「っ…、っ、」


「…例え女の涙でもブスの涙は見れたもんじゃねーわ」


「……」



この人の言葉がどこか心の琴線に触れたからとか、そうじゃない。

だけど安心したのは確かだった。

そして話して良かったと思ってるのも本当。



「───…あ、雪」



つられたように空を見上げてみる。

コンビニの光に照らされた空からふわふわと降ってくる、天使の羽のような結晶体。


掴んだら消えてしまう冷たいものは“消える”んじゃなくて。

きっと誰かの温もりを感じて溶けるように一緒になったんだと、そんな変なことを思えるようになった。



「真面目すぎるのは…苦しいよな」