「1番線、特急列車が通過致します。危ないですので黄色い線の内側に───」
金曜日の放課後は少しホッとして、日曜日の夜は憂鬱になる。
なんて歌をどこかで聞いたことがあるような気がした。
「うそ、前の駅で人身事故だって!」
「えぇ~最悪…!せっかく今日部活ないのに!!」
そんな今日は金曜日。
その歌の通りに過ごすとするならば、土曜日に何があったのかって話だ。
きっと、何もないんだ土曜日も日曜日も。
ただ次の日のことを考えると不安が襲ってくるんだろう。
未来のことを考えると、怖いのだ。
「………たかい、」
10階建てマンションの9階。
ベランダから見下ろした地面は、思っていた以上の高さだった。
それは心の持ちようもあるんだろう。
例えば、ただの興味本位で覗いてみました~なんて気持ちだったら、恐怖は“高さ”だけに対する恐怖だけ。
だけどそれが、下に飛び降りるつもりで覗いた行動だったなら。
あぁ痛いだろうな、途中で気を失っちゃうのかな、これで死んじゃうよね───なんて。
そんなとてつもない恐怖が襲ってくるのだ。