「うん。大丈夫、大丈夫」

ひらひらと手のひらを振ってみせると、こちらに顔を残しながら体の向きを変えて歩き出した。

まだ撮りたりなくてスマホを手にすると、川沿いを歩く彼の背中が桜の花越しに見える。なんだかいいなと思えて、彼に焦点を合わせシャッターを切る。

イケメンとは背中も格好いいものだね。

なんだか得した気分になって、ウキウキと保存した。

それが沼尻君との出会いだった。