夢中で後ずさると、背中にドンと衝撃が来た。

「ちゃんと見ろよ」

不機嫌そうな声に振り返ると、眉根をよせた男の子が立っていた。男の子というには年を取っているのだけれど高校のブレザーを着ていても、まだ男としての成長途中という気がした。

「………あ、ごめんなさい」

ほんの一瞬、見惚れてしまうほど整った顔だった。

不機嫌そうなのに、整っているというだけで目が吸い寄せられる。イケメンて凄いな。

「危ないから気を付けろよ」

不機嫌イケメンと橋の欄干の間は、わずかに10センチほどしかなく、彼がクッションになってくれていなかったら、思い切りぶつけていたのがわかった。