「……」
颯真がどんどん遠くに行ってしまう気がする。
初めは高校だったのに。
県外に行って。
こんなに人気が出て。
どんどん手が届かない距離に行ってしまう。
本当は寂しいに決まってるじゃん。
颯真に会いたいし、声も聞きたい。
でもそんなこと全部……颯真の邪魔にしかならない。
頑張ってる颯真のお荷物にはなりたくない。
パタンと雑誌を閉じて、小さく息を吐く。
颯真が頑張ってるんだからあたしも頑張らなくちゃ。
次の大会、自己ベスト出すんだから。
そう意気込んだとき、
ピロン♪
スマホが通知音を鳴らした。
琴乃かな?
ベッドの上にあるスマホを手に取り、ゴロンと寝転んだあたしは画面をスライドさせ。
画面に表示された文字にその指が止まった。