「ナギも忙しいんだ?」
「うん」
「わかるけどさ、あんま無理しすぎないでよ?」
心配そうに眉毛を下げる琴乃。
たぶん……言いたいことは颯真のことなんだろうなぁ。
「大丈夫だって。今絶好調だから」
だけど、部活のことだと思って。
知らないフリをしてピースサインを出した。
* * *
夜。
お風呂から上がって、あたしの机の上に置かれた雑誌に目を向ける。
ペラペラとページをめくると、そこにはいろんな表情の颯真が写っていて。
凄いなぁ颯真。
同じ人間なのにここまで違うなんて。
ふふっと小さく笑って、無邪気に笑う雑誌の中の颯真に手を止め、何とも言えない感情を抱いた。
あたしの知らない間にこんなかっこよくなっちゃうなんてさ……。