次の日、放課後、音楽室に行った。
 川島先輩がいた。

「今日も来たんだ。」
「うん。川島先輩のピアノが聴きたくて。」

  弾いてくれた。
 とても楽しい音のあとに、悲しさを感じさせる音に変わっていった。
 まるで、天国から地獄みたいな曲だった。
 
 弾き終わったあとに聴いてみた。
「誰の曲なの?」
「俺。」
「え?作曲したの?」
「そう。その時の思いつきで弾いてるだけ。題名もないし、歌詞もない。」

びっくりした。天才だった。