終始、護の一挙手一投足が気になるだなんて…。しかも、大好きな水族館に来ているにも関わらず、だ。そんな自分に驚いてしまう。

 でも、私もイルカショーに夢中になっているフリをした。

 ううん、護よりも熱中しているように見せかけた。

 こんなところで張り合ったって、意味なんてないんだけど…。

 最後に、イルカやトレーナーさんたちへ大きな拍手を送った。

「面白かったなー」

 護がまぶしいぐらいの笑顔で言う。

「プレゼントの箱を運ぶイルカがかわいかった」

 私も当たりさわりのないコメントをした。

「展示の方に戻ろっか」

 護はしごく当然のように手を出してきた。

 スタジアムは明るいのに、護は私と手をつなぎたいんだ。

 そう思うと、キューンと来た。

 私は護の手を握り返した。

「よっしゃー!!」

 喜ぶ護に、私の胸はますます熱くなった。