「恋人つなぎはしないからね」

「それはまだいいよ。今はこれで十分」

「『まだ』じゃないよ。恋人つなぎはずっとしませーん」

 そんなことを言いつつも、護があんまりうれしそうに私の手を握るから、ついつい、私までうれしくなってしまう。

 護と手をつなぐなんて何年振りだろう??

 あの頃とはずいぶん違う、男の人って感じの手になった。

 ドキドキはしたけれど、手をつないでいると、護の方を確認しなくても、お互いの歩調を合わせることができて、すごくよかった。

 それから、暗い中を歩いていても、護の手があれば、とっても安心な気もした。

 ドキドキと安心感の共存、それは不思議な感情で…でも、決して嫌ではなかった。