胸がザワザワしてくる…。

「そんな暗い顔するぐらいなら、玲奈ちゃんも素直になりなよ。佐藤君なんて、好き好きって、ダダ漏れさせてるのに」

「私、護に『好き』とは言われてないよ」

 そう、はっきりとは言われていないのだ。

「チョコ渡すときに、玲奈から言えばいいじゃない」

 恭子はさらっと返してきた。

 最近の恭子は、物言いがストレートだ。

 それでも私は、チョコブラウニーを護に渡すときに、『みんなで作った余り』で、『義理チョコ』だと言うつもりでいる。

 義理は義理でも、去年までのスーパーで買っただけの義理とは違う。

 ラッピングだって、去年はあらかじめ、それっぽい包装紙で包まれているのを、これなら何にもしなくていいから楽ってだけで選んで、レジに持っていった。

 それに対して、今年は100均のだけれど、悩んで悩んで、準備したのだ。不器用な私にもできるキャンディ包みにしようと決めて、ストライプ柄のクッキングシートと麻ひも、それからクラフト紙の袋を。

 私なりに精一杯のアップグレードをした。