「佐藤君って、ナッツ好きだっけ?」

「えっ? ええっ??」

 玲奈がうろたえた。

「佐藤君に、チョコあげるよね?」

 私はヨウシャなく、直球を投げた。

「護には、適当にスーパーかコンビニで買うよー。だって、義理だもん。みんなと作ったのは、みんなと食べる」

「今年は、その場で食べる用とあげる用、両方作ろうよ。私もあげたい人いるし」

 お父さんと弟だけどね。

「えっ、誰? 恭子、好きな人いるの?」

 玲奈はパッと笑顔になった。

 今ここで『佐藤君が好き』って言ったら、どんな顔に変わるんだろう…まあ、絶対に言わないけどね。

「私のことはいいから。ねえ、もうゴマかしてないで観念したら? 佐藤君に義理って、ムリがあるでしょ」

「ムリなんかじゃないよ、護は幼なじみ」

「幼なじみは幼なじみなんだろうけど。呪いのことは考えないで、正直になってみたら? だって、『その後のことは、そのときにならないと分かんない』んでしょ?」

「それは、相手が護じゃなかったから…。護との間に、呪いが発動しちゃうのは、絶対に嫌っ!」

 それって、佐藤君が好きって白状してるようなものだと思うんだけど…。