「ねー、ちょっと聞いてよ!」

「あのなー、いつも言ってるけど、電話ぐらいして、オレの都合を聞いてから来いよ」

「いいんだもーん。護の都合が悪かったら、出直すだけだから」

「あと、休日の朝っぱらから、そのテンションに付き合うのは、キツいものがあるぞ」

 文句を言いながらも、護は読んでいた本を閉じて、こっちを向いて座り直した。

 そう、人の話をきちんと聞いてくれる、いいヤツなのだ、護は。

「ごめん、ごめん。走ってきたから、気分が高揚しちゃってるのかも…って、そんなことよりも聞いて、聞いて! なんと、私って、呪いがかけられてるんだって!」

「はあ? 呪いだー?」

 護はうさん臭いと思っているに違いない。そういう顔をしている。

「それも代々、呪われてるんだって。お母さんから聞いたの」

「ふうん。それで、どんな呪いだって?」