「その人にも自分の気持ちを言ってないの。だから、ごめんなさい。…さっきから、私、『ごめんなさい』ばっかりだね」

「ううん、いいよ、いいよ。その人とうまくいくといいね。そのためにも、笑顔だよ、笑顔。オレ、前田さんの笑顔を見て、いいなって思ったから、保証する」

　村田君が『ほら、ほらっ』と催促するので、ついクスッと笑ってしまった。

「村田くん、ありがとう」

　それから『じゃあね』と手を振り合って、お互いの教室に戻った。

　想像と違って、重い空気にならなかった。

　私のこと、好きってほどでもなくて、ほんの少しいいって思ってくれただけなんだろうな。

　ちょっぴり寂しい気もした。

　でも、私相手だもん。そんなもんだよね。

　それに村田君がいい人っていうのもあったと思う。

　今はそのタイミングではないんだろうけど、いつか友達になれたらいいなー。

　はあー、片方の肩が軽くなった。

　あとは…ううっ、作文だ。それに…