ああ、だから村田はチョコをもらえる気満々だったのか。

「『友達との予定が決まったら、教えてよ』って言われてるんだけど、親しくもない人と公園でおしゃべりが楽しいと思えなくて…」

「村田と親しくないの?」

「先週と今日の2回、ちょこっと話しただけ…」

 オレは村田とは友達だから、何て言ったらいいのか難しかった。

「…あー、それは…厳しいな。嫌なら断れば?」

「2組まで行って? うー、怖いけど…」

 でも、こればっかりは助けてやれない。

「…言うしかないもんね」

 玲奈が真っ直ぐ前を見つめてつぶやいた。

 オレは珍しい玲奈の表情に驚いた。それは男前で、惚れ直してしまった。

 玲奈を惚れさせたいのに、何やってんだ、オレ。

 でも、全然、嫌な気はしなかった。