護が突然、私の腕をつかんで止まった。あまりのことに驚きはしたけれど、痛くはなかった。

 私も足を止めた。

 それから護が両手で、私の顔を優しく包んだ。

 私の手よりもずっと大きくて、指の骨はゴツゴツしている。

 寒くて冷たくなっていた私の頬にあったかい。

 ど、どうしたらいいの?

 頭の中でグルグル考えた。

 これは、目を閉じてはいけないことだけは確かだ!

 でも、目の前に護の顔があって、どこを見たらいいのか分からない。目が泳いでしまう。

「安心しろよー。まだ彼女でもないのに、キスしたりしないから。でも、ほら、できそうな気がするだろ?」

 どこがっ!?!? できる気なんて、これっぽっちもしない。

「恥ずかしくて死にそう…」

「オレも恥ずかしいことは恥ずかしいよ」

「ウソだー! 余裕なくせにーー!!」

「寒さで元々、顔が赤いから、分かんないだけだよ。オレもいっぱいいっぱいだけど、引いたらいけない場面だから、踏ん張ってる」