「好き? 好きって何が??」

「髪型も、メガネも。長い付き合いだから、玲奈がどういう男子にキャアキャア言ってきたか、よく知ってる。だから、玲奈のタイプに寄せてみた」

「な、何で? 護の意図が分かんない」

「この前も言ったはずなんだけどなー。なあ、玲奈、オレにしとけよ」

 軽口のはずなのに、護の目は真剣だった。

「今まで、玲奈は本気で好きなヤツもいないみたいだったし、まだ幼なじみのままでもいっかって思ってたけど、事情が変わった。オレ、本気だすから。そのつもりでいて」

 何かスゴいこと言ってない??

 私はたじろいでしまった。

「…いや、いや、いやいやいや! これからも幼なじみのままで!!」

 ダメだ! これ以上、護の横を歩いていたら!!

 頭の中で、けたたましくアラーム音が鳴り響く。

 それから私は、無我夢中で、家まで全速力で走って逃げ帰った。

 真冬なのに、家に着いた時には汗だくになっていた。