自分の先祖ながら、ひどいと思う。

 『元々、親に決められた婚約者で、そんな好きでもなかったの。婚約破棄されて、プライドがズタズタにされちゃって、つい呪いなんてかけちゃったけど…婚約破棄してくれたおかげで、あれから運命の人に出逢えたわ。だから、もう呪いはいらなーい。でも、困ったわー。私じゃ、呪いを解けないもん。あっ、息子にお願いしちゃえ!』

 そんな程度のノリじゃないか…とオレは疑っている。

 がんばったのは、ひいじいさんだ。

 まず、駆け落ちした玲奈のひいひいじいさんの居場所を探し出した。

 しかし、この時点で、ひいじいさんも、前田家の呪いを解くことができなくなっていた。

 そこで、ひいじいさんは、自分の子どもに役目を引き継いでもらうつもりで、妻と子どもを連れて、前田家の近所に引っ越した。

 子どもがダメなら、次は孫。孫もダメなら、ひ孫。

 ひ孫とは、オレだ。

 ずっと呪いが解けるのを待ち続けて…だから、ひいじいさんはあんな長生きしたのか。

 オレと玲奈が仲よく遊んでいるのを、うれしそうに眺めていたっけ。

 ひいじいさんが呪いをかけたわけじゃないのに…。