「んーと、ちょっと話しにくいんだけどなー…話したら、オレのこと好きになってくれる?」

「何それー。いいじゃない、教えてよ」

 護は渋々、話し始めた。

「…3年生ぐらいんときだよ。昼休みに、みんなでバスケして遊んでて。玲奈の顔面にボールが飛んできて、それで、玲奈が泣いちゃって…覚えてる?」

「全っ然、覚えてない」

「本人はそんなもんかもなー。あんときさ、オレ、痛がってた玲奈をコートから連れ出して、ハンカチ? タオル? 忘れてたけど、そういうので、玲奈の顔を拭いたんだよ」

「あーっ、思い出したかも! あったねー、そんなこと」

 共通の思い出を思い出せて、ほっとした。

「玲奈の涙を拭きながら…あー、これって言わないといけないのかなー」

 護が恥ずかしそうに、空いていた手で顔を隠す。

「ここまで話しておいて、焦らさないでよっ。それで?」

 私は話の続きを急かした。