「でも…そんなこと言ってて、海外に行かないといけなくなったら?」

 私は、ずっと不安に思っていたことを、護にぶつけてみた。

「今、父さんが海外転勤になったら、オレはじいさんたちと日本に残るよ。でも、将来、オレ自身が海外ってことになったら…」

 私は護とつないだ手に、思わず力が入る。

「そうだ、オレたちが小学生のとき、親がイギリスやシンガポールに転勤になったやつら、いたじゃん。あいつら、確か2年ぐらいで戻ってきただろ? 2年ぐらい、寂しいかもしんないけど…」

 護も強く握り返してきた。

「オレといっしょに来てよ。玲奈の母さんとは違う道を選んでほしい。オレも1人で海外に行くより、玲奈と2人の方が心強いし、休日はいろんなとこ出かけたりして、きっと楽しい…って、これは、もしもの話な。呪いに勝てなかったときの」

 護はたいしたことではないように言う。