その後、無事にシーリンもといシリウスと結婚したわたしは、宰相になった彼の隣で、公爵夫人として生きていくことになる。
どんな時でもわたしを愛してくれるシリウス。
対照的に、どんどんデネブは落ちぶれていった。彼と浮気をしていた女性はずっと色んな男を相手にしていき、気づけば娼婦になっていたそうだ。
距離をとって悪口を言ってきた友人達の家も、次第に政界には顔を出さなくなっていった。
「もしかしたら、女友達として出会って信頼関係を築いたうえでの婚約だったから、良かったのかもしれないね」
時々、シリウスはそんなことを言う。
女性みたいな顔立ちなのに、誰よりも男らしい。
だけど、女性みたいに、話を聞いて励ましてくれる――友だちの役割も果たす――シリウスは、そんな素敵な旦那様で、わたしはすごく幸せ。
まさか地味だって言われて婚約破棄までされて悪役令嬢呼ばわりされてしまった伯爵令嬢のわたし――これは、幸せを奪われたわたしが、幸せを奪い返して幸せな結婚をすることが出来た――そんなお話だったのでした。