ツヤは沸騰したお湯の中に味噌を入れ、味噌汁を作る。山で採れたキノコたっぷりの味噌汁だ。その隣でカスミは畑で採れた野菜のおひたしを作っていた。

「わあ、おひたしおいしそう!」

「おひたしは結構お母さんに任されるから、味は保証するわ」

楽しそうに笑う二人を見て、焼き魚を用意していたアサギは「ごめんね」と呟く。

「二人に朝から薪拾いや水汲みをさせて、朝ご飯の支度までさせるなんて……。二人はまだ子どもなんだし、もう少し寝ていてもいいのよ?」

その言葉にツヤとカスミは同時に首を横に振る。決して、薪拾いも水汲みも強制されているわけではない。二人がしたくてしているのだ。

「お母さんに全部任せるなんてダメよ。家族なら協力しなきゃ」

カスミがおひたしを作る手を止め、アサギの方を真っ直ぐに見つめて言う。一方でツヤは味噌汁をかき混ぜながら、ため息混じりに口を開く。

「大体、力仕事は父さんがやってくれれば、あたしと姉さんは朝ご飯を母さんと一から作れるんだよ。近所のおばさんたちなんてみんな「力仕事は男の仕事だ!」って言ってるのに、父さんなんて……」