「高1から仲良くて、なんでも話せる一番の親友なんだ」


 嫌なことがあった時。嬉しいことがあった時。全ての時間を共有してきた、唯一の子。

 改めて思っていることを口に出すのは、少し照れ臭い気がした。

 黙って聞いていた比茉里ちゃんが、瞳をうるうると輝かせて。勢いよく抱きつくから、私は思わず赤面する。

 ぷっと吹き出した湊くんが微笑ましそうに口を緩めていた。

 温かく見守ってくれるようなこの表情が、私は好きなんだ。

 両手に飲み物を抱えた下津くんが戻ってきて、ドアを片足で閉めた。

 確認することなく湊くんの前へカフェオレを置くと、カフェ店員のように。

「おふたりさんは何がいいー? ちなみに、これ俺のおすすめ」とマンゴー・ピーチ・キウイのミックスジュースを指さした。

 黄色よりの緑にキウイのつぶつぶした種が入って、おいしそう。

 受け取る私の隣で、なにも反応しない比茉里ちゃん。

 なにやら深刻そうな表情で飲み物を凝視して。


「御曹司でも缶コーヒー飲むんだ」