下津くんの部屋は全体的に落ち着いた雰囲気でシックな印象。

 高校生男子の部屋って、こんな感じなんだ。

 意外と大人っぽいんだなぁ、なんて緊張と興味の目を向けていると。

「その辺、適当に座っててねー」と私たちを残して、下津くんは部屋を出た。

 慣れた様子の湊くんが、「とりあえず座ってよう」とソファーへ誘導する。

 参考書をテーブルへ置く湊くんの横顔が綺麗で、見惚れていた。その私を横目で見て、比茉里ちゃんがニヤニヤとしている。


「星名くん、よく来るの?」

「結構来るかな」

 勉強の準備をしながら、ちゃんと目線を合わせることろも天使だ。

 自然に会話が出来る比茉里ちゃんが羨ましい。

 少しずつ話せるようになったけど、自分から話しかけるとなるとハードルが高くて。尻込みしてしまうことが多い。


「樹とは中学からの付き合いだからね。2人も仲良いよね。いつから?」


 私にも目線を向けて話を振ってくれるなんて。こんな素敵な人に裏の顔があるわけない。

 どきどきと打ち寄せる鼓動の波を鎮めるように、肩でゆっくり息をする。