「湊の部活は知ってんのに、俺のこと知らないってなーんかな。結奈ちゃん、俺に興味無さすぎじゃね?」

「そんなことは……」

「じゃあ、興味ある?」


 悪戯な顔が首を傾げる。

 興味があるかと言われると、正直そうでもない。

 だからと言って、素直に答えたら失礼にならないかな。

 湊くんも答えを待つようにこっちを見ているし、どう答えたら正解なの?


「樹、結奈ちゃん困ってる。あんまからかうなよ」


 眉間にしわを寄せて狼狽える私を見かねてだろう。湊くんが助けてくれた。

 ちょっとした優しさが嬉しくて、頬が熱くなる。


「ごめんごめん。うん、いい表情してたよ」


 本気にとらえて、どうしようかと考えていたのに。反応を見て楽しんでいたなんて。

 ほんとに失礼な人なんだから。さらに顔全体が赤く染まる。


 ーー今のって計算ぽい。可愛らしい女子アピールみたいな。

 ーーああゆうの、あざといよねー。てゆうか、フィル・ルージュとか、本人が地味過ぎて似合ってないし。

 ーーバレッタだけ浮いてるよね。