湊くんに褒められた。気持ちを込めて作ったものを、好きだと言ってくれた。初めてもらったお返し。

 綺麗な色味のビジューとパールが並んだ女の子らしさが詰まったバレッタだった。

 隠しきれない感情を手のひらで(おお)う。


 ーーあなたが好きです。

 どうしようもなく胸に込み上げる音。


「喜んでもらえて良かった。結奈ちゃんは、電車?」

「お姉ちゃんが、迎えに来てくれてて」

「そっか。僕もそろそろ行かないと。じゃあ学校でね」

「また、明日ね」


 お互いに手を振る。湊くんの後ろ姿を見送って、私は会場の駐車場へと向かった。

 もう少し話していたかったな。

 明日も学校で会えるのに、もう会いたくて仕方がない。

 最初は友達になれるだけで夢のようだと思っていたのに、心はだんだん欲張りになっていく。


 ーーずっと、結奈ちゃんが好きだよ。

 湧き上がるような胸で響く声に、想像が膨らんで。取り返しが付かなくなっていく。

 淡い気持ちを抱きながら、ただひたすらに一方通行の電車へ乗り続けているみたいに。