「飾りのブルーベリー、少し貰うね。これを潰して代用してみない?」

「それいいね。やってみようよ」

「……部長、先輩。でも」

「ここは私たちに任せて。高見ちゃんは、最高のチョコ細工を頼むよ」

「……分かりました」


 大丈夫。私たちなら乗り越えられる。

 焼けたスポンジをロール状にして切り株の土台を作り、純白の生クリームの上に花婿と花嫁の人形を置く。

 その周りに動物と花を散らばせたら、あとひと息。

 ブルーベリーと木苺、チョコレートで作ったハートの雨傘を立て、最後にしっかり青くなった鳥を置いて完成。


「出来たーッ! お疲れさま!」

 拓殖先生も加わって抱き合う。やり切った喜びと安堵の涙を浮かべて。

 予定通りには運ばなかったけど、今までで一番いい仕上がりだった。

 有名スイーツ専門店のパテシエや調理専門学校の講師により審査され、15時半には結果が分かる。

 昼食の最中、さっき撮っておいたケーキの写メを湊くんへ送信した。


『さっき作り終わりました! あとは結果を待つのみです』

 こんな日記みたいな文章を送られたら、男の子って返事に困るかな。