地元の桜小町と似ていて、百鬼(なきり)駅は人の気配がそれほどあらず緑が多い。

 しばらく歩き進めると、大きな鳥居が顔を見せて、その先に参道が伸びている。

 周さんに誘われて、白髭神社という場所を訪れた。参拝客はまばら。それほど規模は大きくないけど、地元ながらの独特な風格を感じた。

 木の葉が囁くように揺れている。何か語り掛けているみたい。


「素敵なところ。すごく雰囲気のある神社だね」

「知る人ぞ知る場所なんだよ。ずっと鹿島ちゃんを連れて来たかったんだ」


 時々、周さんは不思議な空気をまとう。友達とは少し違う、何か。

 ハッとするような視線を向けて、あとは知らない顔になる。クイズを出されているみたいなの。

 鳥居を潜り、手水舎で身を清める。

 こうして神社を訪れたのは何年振りだろう。考えてみたら、高校受験の合格祈願に行った以来だ。

 白髭神社には龍が祀られており、その天龍が失くしものを見つけてくれると伝えがある。白髭と言う名は、白龍の髭が由来。

 初めて聞くことばかりなのに、もっと前から知っていた気がする。

 ここを歩くと懐かしさが込み上げてくるのは、どうしてだろう。