夕食を終えたお姉ちゃんはお風呂へ、悠真はソファーでうたた寝を始めた。

 風邪引くよと、悠真にタオルケットを掛けて、髪を束ねた私は静かなキッチンに立った。

 業務用のアーモンドプードルと砂糖を混ぜ、卵白を加えて塊にする。それに食用色素で色付けをして。マジパン細工作りの練習をする。

 花びらを一枚ずつ丁寧に仕上げ、青い鳥も可愛らしく本番と同じように。

 シャンプーの香りを漂わせたお姉ちゃんが、リビングに入ってきた。


「やってるねー。コンテスト10日だっけ? この鳥可愛い」

「ケーキが大きめだから装飾もいっぱい作らなくちゃいけなくて。頑張って練習しないと」


 焼き上がった小ぶりのスポンジ生地に、生クリームと花びらのマジパンでデコレーションを施す。


「この完成画めっちゃ素敵じゃーん! 君と未来へって、 結奈は誰を想像して作ってんの?」


 キッチンボードに立て掛けてあるホワイトボードを覗き込んで、ドキッとさせるようなことを言う。お姉ちゃんは、変なことろで勘が冴える。


「家族と友達、みんなだよ」

「頑張れ! 結奈は自慢の妹だ。でも、無理し過ぎないようにね」


 気が付けば時間も忘れて、日付が変わる瞬間までキッチンに立っていた。