白い洋風の一戸建て。玄関のドアを開けてすぐ、弟の悠真(ゆうま)が2階から降りてきた。


「おかえり。さっき、沙羅(さら)も帰ってきたぞ」


 眠そうなあくび顔と生意気な口調はいつものこと。
 リビングではお姉ちゃんが夕食のおかずを並べていた。

残り物のカレーを見た瞬間、悠真の表情が曇りに変わって。


「今日の給食もカレーだった。他になんかねぇの?」

「文句言わずに食べな」

「ちゃんと料理しねーと嫁の貰い手ないかもな」

「お前の今日の晩ご飯は白米だけ」

「うっわ、出た鬼婆婆(おにばば)

「だーまーれぇー!」


 また始まった。お姉ちゃんと悠真は、年が6歳離れている割によく喧嘩をしている。

 小学生の頃は、サラちゃんユナちゃんと呼んでいた可愛い悠真。中学に上がって生意気にも私たちを呼び捨てにするようになった。

 口答えも多くなって、2人の言い合いも増えた気がする。これが思春期というものなのかな。

 うちは父が単身赴任のため、母と子4人で暮らしている。母の仕事は夜勤があるため、こうして子どもだけになる日も少なくない。

 大変なこともあるけれど、私はこの温かい家族が好き。