「なにあれ。すっごく感じワル! 気にしない方が」
「ごめんね」


 気付くと比茉里ちゃんの胸に飛び込んでいた。柔らかくて優しい匂い。
 いつも私は助けられてばかり。この温もりから、抜け出さないと。


「かばってくれてありがとう。巻き込んじゃって、ごめんね」

「……あの写真、昨日、別クラの仲良い子から送られてきた。結構噂になってるっぽい」


 美術室での画像は生徒間で拡散されていて、星名くんに想いを寄せている女子の反感を買ったことは確実だった。

 また小学生の頃と同じことが繰り返されるかもしれないと思うと、震えが止まらない。

 部活をしている最中でも、気が気じゃなかった。

 今日は、他の部員が和食を作る最中、私たちは持ち寄ったケーキのアイデアを出してコンテストに向けての話し合いをする。


「大切な人のイメージが仲間だから、賑やかな楽しいケーキが良いと思って」


 ノートにびっしりと描かれた絵は、周さんが好みだと言うオレンジとイエローがベースになった明るく幸せな印象。向日葵や森の動物で賑やかになっている。


「元気と楽しさが溢れてて素敵だね」

「鹿島ちゃーん、ありがとう! 高見ちゃんのはウエディングケーキ?」


 2年の高見ちゃんの紙には、女の子らしさが全面に出された華やかな花嫁が書かれていた。