「私が樹くんのこと好きだから、結奈ちゃんも好きになったのに、言いづらくて言えなかったわけじゃないの?」
大きく否定するために、何度も首を横に振った。よかったと胸を撫で下ろして、ごめんと彼女は頭を下げる。
少し前から、私が下津くんへ好意を抱いているのではないかと感じていたらしい。
ちょうど湊くんからの告白もあって、彼と距離が出来ていたから余計に誤解を生んでいたみたい。
「樹くんと2人でいたのは確かにショックだったけど、そうじゃなくて。結奈ちゃんが、私のこと信じてくれてないかもって思ったら、悲しくなった。なんでも言ってよ。好きな人が被ろうが、たとえ付き合おうが嫌いになんてならないから」
〝だって、親友でしょ?〟
ほろり、ほろりと頬から雫が流れ落ちる。
慌てた様子の彼女が、私の頬を手のひらで覆い、瞼の下に出来た水溜りの跡をくしゃくしゃと拭う。
嵐が去ったような顔を見合って、互いにフフッと声を吹き出した。
誤解が誤解を呼び、さらに輪をかけて亀裂は大きくなって、繕うことすら出来ない事実だけが世界に残る。
初めて経験した心の衝突は、もう一度、比茉里ちゃんと笑い合う喜びを教えてくれた。
大きく否定するために、何度も首を横に振った。よかったと胸を撫で下ろして、ごめんと彼女は頭を下げる。
少し前から、私が下津くんへ好意を抱いているのではないかと感じていたらしい。
ちょうど湊くんからの告白もあって、彼と距離が出来ていたから余計に誤解を生んでいたみたい。
「樹くんと2人でいたのは確かにショックだったけど、そうじゃなくて。結奈ちゃんが、私のこと信じてくれてないかもって思ったら、悲しくなった。なんでも言ってよ。好きな人が被ろうが、たとえ付き合おうが嫌いになんてならないから」
〝だって、親友でしょ?〟
ほろり、ほろりと頬から雫が流れ落ちる。
慌てた様子の彼女が、私の頬を手のひらで覆い、瞼の下に出来た水溜りの跡をくしゃくしゃと拭う。
嵐が去ったような顔を見合って、互いにフフッと声を吹き出した。
誤解が誤解を呼び、さらに輪をかけて亀裂は大きくなって、繕うことすら出来ない事実だけが世界に残る。
初めて経験した心の衝突は、もう一度、比茉里ちゃんと笑い合う喜びを教えてくれた。