コンテストのアイデアを考え始めて数日。大切な人を表現するイメージが少しずつ浮かんで来た。
図書室で小説やお菓子の本からインスピレーションをもらい、裏庭の植物や通り過ぎていく人を観察する。
体育館や音楽室など、手当たり次第に校舎を歩いた。イメージが突然空から降ってくることもあるの。
あと探索してないのは美術室。前を通り過ぎようとして、人の気配に足を止める。
少し開いたドアの向こう。大きなキャンバスの前に立つ後ろ姿が見えた。綺麗な茶髪とすらっとした背丈がとても絵になる人。
鮮やかな絵の具を付けた筆を滑らかに動かす指先に目が釘付けになった。
ーーピロロン♪
手にしていたスマホからココアトークの音が漏れた。反射的にドアの後ろに身を隠す。
あまりに大きな音が廊下に響いたから、つい。何か悪いことをしていた小学生の気分。隠れなければならないことをしていた訳でもないのに。
もたれている背を離したとたん、ドアが開けられて頭上から甘い声が降って来た。
「鹿島さん?」
空を見上げるような体勢から、星名くんの綺麗な顔が覗き込んでいるのが見えた。
不意打ち過ぎて、体が氷みたいに固まる。
「あの、たまたま……すみません」
泣いている赤子みたいな肌の色が恥ずかしくて、目を見て話せない。このあがり症をなんとか治したい。
図書室で小説やお菓子の本からインスピレーションをもらい、裏庭の植物や通り過ぎていく人を観察する。
体育館や音楽室など、手当たり次第に校舎を歩いた。イメージが突然空から降ってくることもあるの。
あと探索してないのは美術室。前を通り過ぎようとして、人の気配に足を止める。
少し開いたドアの向こう。大きなキャンバスの前に立つ後ろ姿が見えた。綺麗な茶髪とすらっとした背丈がとても絵になる人。
鮮やかな絵の具を付けた筆を滑らかに動かす指先に目が釘付けになった。
ーーピロロン♪
手にしていたスマホからココアトークの音が漏れた。反射的にドアの後ろに身を隠す。
あまりに大きな音が廊下に響いたから、つい。何か悪いことをしていた小学生の気分。隠れなければならないことをしていた訳でもないのに。
もたれている背を離したとたん、ドアが開けられて頭上から甘い声が降って来た。
「鹿島さん?」
空を見上げるような体勢から、星名くんの綺麗な顔が覗き込んでいるのが見えた。
不意打ち過ぎて、体が氷みたいに固まる。
「あの、たまたま……すみません」
泣いている赤子みたいな肌の色が恥ずかしくて、目を見て話せない。このあがり症をなんとか治したい。