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「そんなに痛くないから」


 細い足首に浮かび上がる蕁麻疹(じんましん)のようなあと。
 ビーチバレーをしていた時、波打ち際で瀬崎さんがクラゲに刺された。白い肌は赤くなり、湊くんが応急処置として海水をかけている。

「ごめん」とつぶやく彼に、太陽で火照ったような頬をして「ほんとに大丈夫よ」と彼女は言う。


「湊くんは何も悪くないわ。気を付けてって言われてたのに、気を抜いた沙絢がいけなかったのよ」

「そうだよ! 星名くんが謝ることじゃないでしょ」

「……恵比寿さんは黙ってなさい? 湊くんは、沙絢と話してるのよ」


「結局、防げなかった僕が悪いんだ。痛い思いさせて、ほんとに……ごめんね」


 眉を下げて辛そうにする湊くんを見ていられなかった。
 たぶん、クラゲに刺される未来が見えていたからなのだろう。


「それにしても、小雪上手かったよなー。中学の時にバレーでもしてた?」

「いや、水泳部」

「ああ、なんとなくスクール水着の想像ついた」

「樹が言うと変態発言に聞こえるのは気のせい?」

「それは気のせいだ」


 相変わらず軽快なやり取りだなと感心していると、足の砂を落としながら比茉里ちゃんが口を開いた。


「瀬崎さんのマシュマロボディーに、鼻の下伸ばしてたもんね。樹くん」