情報交流会と言う名だけの女子会を終え、私たちはカフェを出た。空は黒く淀んで、世界を食べようとしているみたいだ。

 タイミングを逃して、湊くんが誰とも付き合わない理由を聞きそびれた。瀬崎さんの知っている秘密が何かも。


 静かな夜の駅周辺は物騒だ。
 黒ずくめのスーツに身を包んだ男の人たちが、行き交う人へ声を掛けている。見るからに怪しい風貌に足がすくむ。

 比茉里ちゃんの腕をがっしりと掴みながら、目を合わせないように歩いていると。


「ねえねえ、お姉さんたち。これから暇?」


 前を歩いていた瀬崎さんたちが、金髪の男性に声を掛けられた。


「変なお店の勧誘ならお断りよ。制服着てるの見えないの?」

「見えないなぁ。俺ら、透視しちゃうからさ」

「勧誘じゃないならいいの? ねえ、ちょっと付き合ってよ」


 背後から現れたもう1人が私の肩に手を回す。怖くて手足がガクガクしている。口を開こうにも声が出ない。


「やめて下さい。警察……呼びますよ」


 珍しく比茉里ちゃんの声も震えていた。大人の男性は威圧感があって体が萎縮してしまう。