6番出口を出て閑静な住宅街を歩く。敷地のひとつひとつが広く、建物の数はそれほど多くないように見える。

 並木道や噴水があったり、パリをイメージさせる建物が見られたりと、おしゃれな街並み。

 場所が変わると、同じ帝市でも空気が全然違って感じた。敷居が高そうな店ばかりだけど、女子としては憧れる。

 街の空気に酔っていると、湊くんが一軒家の前で足を止めた。
 赤茶の屋根に白い壁。レンガの門の周りに木が植えられた西洋を思わせる家。


「……可愛い家」

「おばあちゃんの家なんだけどね。たまにしか帰って来ないから、今はほとんど1人暮らし状態なんだ」


 門を通り抜けると、青や紫、黄や白などの花が綺麗に咲いていて、庭の手入れが施されているのが見て取れた。

 誰かがお手入れに来ているのかな。
 家政婦さんなのか、それともそうゆう女の子がいるとか……。

 考えた瞬間に、ぶるぶると脳内から消去する。